
カオスな世界へようこそ。「SIEMが必要だ」と言われましたね。CISOかもしれない。監査かもしれない。SOCチームが「もうガムテープとPythonスクリプトでその場しのぎにログをつなぐのは限界だ」と嘆いているのかもしれない。理由はどうであれ、あなたは今SIEMを買おうとしている。おめでとう…そしてご愁傷様です。
予算(そしてチームのやる気)を無駄にせず、本当に使えるSIEMを手に入れる方法を考えてみましょう。
ステップ1:SIEMが「実際」に何をするものなのかを知る
SIEM = Security Information and Event Management。これは各種システムからログを集め、解析・正規化して検索可能にし、イベントを相関させて問題を検知しようとするツール。
理論上は最高。でも現実では?ベンダーの半分は、2000年代初頭に作られた巨大な旧式システムを「クラウドに対応しました!」と売りつけているだけ。古い技術にクラウドのシールを貼ってもクラウドネイティブにはならない。残りの半分は、事あるごとに「AI!」と叫ぶけど、カスタムアプリのログを解析するにはコンサル部隊が丸ごと必要となる。
ステップ2:自分たちの「本当の」ユースケースをちゃんと把握する
ここが一番大事。ここでSIEMを買う人の90%が失敗する。自問してみて。
- コンプライアンス(PCI、HIPAA、SOC 2)の対応だけ?
- ハイブリッド環境全体で脅威検知をしたい?
- ちゃんとしたSOC(セキュリティオペレーションセンター)がありますか? それとも少人数の疲弊したスタッフと大量のコーヒーで運用していますか?
- 単にログ検索できればいい? それともエンティティ相関や影響範囲の特定まで必要?
「まともな検索ができるログ貯蔵庫」で十分か、それとも本格的な脅威検知プラットフォームが必要かはユースケース次第。PCI対応だけなら、スーパーに行くのにフェラーリはいらないし、3人チームにエンタープライズ向け怪物ツールも必要ない。
ステップ3:アラート疲労の罠に落ちない
ベンダー「リアルタイム脅威検知!」現実:社内プリンターのポートスキャンとDNSルックアップだけで1日500件アラート。
欲しいのはノイズではなくシグナル。まともに動く組み込み検知コンテンツが入ってるか、そして正規表現の博士号がなくても自分で調整できるかは聞いておいた方がいい。GUIで簡単にルール作ったりチューニングしたりできるやつを選んでいた方がいい。検知エンジニアじゃなくても「これ何やってるの?」って一発で分かるレベルじゃないとダメ。自分が分からなかったら、相手も分かってない証拠だから。
プロTips: Okta不正利用、AWSキー盗難、横移動などの具体的な脅威に対する検知サンプルを見せてもらう。まごまごしたら即、次へ。
ステップ4:価格をしっかり確認し、契約書は細部まで読む
ほとんどのSIEMは、GB/日、EPS、またはスキャンベースのシステムのいずれかで課金する。
やるべきこと:
- 現在のログ容量(クラウドサービスを含む)を計算する
- 30%の成長バッファを追加する
- 他のログで実際に役立つユースケースがあるかどうかを確認し、ある場合は追加する。
- 書面で見積もりをもらったら、超過料金(overage)を二重チェック。ストレージ、検索、検知、統合が価格に含まれているか、忘れずに聞く。中には「基本的な相関分析」ですらプラチナオプションとして扱うベンダーも存在します。
- データが「ホット」か「コールド」かを聞く。
- 保持、パーティション、取り込みを自分でコントロールできるかも聞いておく。
- 価格ロックや値上げ抑止の対策は入れられるかも聞いておく。
ステップ5:サンドボックスではなく、「自社データ」でテストする
デモは綺麗すぎる幻想。本当に試したいのは Kubernetesのログ、Oktaイベント、EDRアラート…いわゆる「汚いデータ」。
まともなベンダーなら14~30日の実データPOCを出してくれるはず。そのときに必ずチェック:
- チームが自分で検索を書けるか?
- 初期設定のままでちゃんと動くか?
- 大規模トレーニングなしで使えるか?
- ダッシュボードが簡単に作れるか?
- SOAR/可観測性/インフラ監視などの他領域のコスト削減にも使えるか?
チームが「これ嫌い」と思ったら、来年また同じ地獄を繰り返すだけになってしまう。ピカピカのデモに釣られないよう、POV前にスコアカード作っておこう。あとでPOV中にちゃんと触る時間が取れてないと、みんなの時間をドブに捨てただけになっちゃう。
ステップ6:誰も答えたくない質問をぶつける
以下はいくつかのいい例:
- ライセンスの制限を超えたらどうなる?
- オンボーディングには通常どれくらい時間がかかる?
- 追加のスタッフを雇わずにこれを実行できる?
- 利用をやめたい場合、どうなる?
答えがスキャンダル隠しの政治家みたいに誤魔化してきたら、それが赤信号だと思える。
ステップ7:誇大広告に惑わされない
気をつけること:
- 大幅な初期割引 = 高額な更新料金。
- あらゆる問題を解決するというAI。設計が不十分なSIEMにエージェントを無理やり追加しても問題は解決しない。
- 大規模な非構造化データの処理不能
- 何でもできると言い張る者は、何事も完璧にはできない。
最後に:SIEMを買うだけじゃなく、パートナーシップを買ったほうがいい
最強のベンダーは鍵をポンと渡して消えたりしない。 アラートをチューニングしたり、ダッシュボード作ったり、新しいログソースを乗せたり、コンプライアンスが来ても頭を抱えずに済むようにちゃんと付き合ってくれる。
初めてSIEMを買うなら、サポートポータル付きのブラックボックスじゃなくて、自分のチームの延長線上にいるようなベンダーが欲しいはず。 Sumo Logicはそういうベンダーになりたいと思ってる。


