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Sumo Logic の OpenTelemetry ガイド.

強力な可観測性ツールである OpenTelemetry と、それがビジネスにどのような価値を提供できるかを確認しましょう。
目次

    テレメトリーデータ入門

    OpenTelemetry の魅力に踏み込む前に、まずはテレメトリーとは何か、そしてそこで扱うことになるデータの種類を理解しておくことが重要です。まず「テレメトリー 」の意味は、ギリシャ語の「tele(遠隔)」「metron(測定)」に由来します。「遠隔測定 」という考え方を可観測性に当てはめることで、アプリケーション内部で実際に何が起きているのかを理解するために欠かせない要素が得られます。収集・分析すべき主なデータはログ、メトリクス、トレースの3種類です。

    • ログ

    アプリケーション内でアクションが発生するたびに、ログファイルが生成されます。このデータはイベントを記録し、アプリケーションが正常に動作しているかどうかを判断するための手がかりとなります。ログを使用することで、DevOps チームは同時に発生したイベントを確認し、エラーや問題を迅速に見つけて修正することができます。

    • メトリクス

    メトリクスとは、応答時間やメモリ使用量などの主要業績評価指標(KPI)を指します。これらはタイムスタンプに関連付けられたデータポイントだと考えてください。このデータによりシステム全体の健全性をより詳細に把握し、問題を迅速に特定できます。

    • トレース

    ログやメトリクスはパズルの重要なピースではありますが、基本的には特定の瞬間を切り取ったスナップショットにすぎません。一方トレースは、物語の始まりから終わりまでを描いた短編映画のようなものです。トレースはアプリケーションシステム全体を横断するリクエストを追跡し、その途中に生じるあらゆるインタラクションを記録します。これにより、動作からの逸脱を見つけ出すことができます。

    これらの種類のデータはすべて、異なる動作を通して生成され、アプリケーション内のさまざまな場所で生み出されます。まさに「バベルの塔」のような状況です。異なる「言語」を話すため、エンドユーザーはそのデータを活用しづらくなっているのです。この問題は、可観測性ツールの設計そのものに深く根付いているのです。そもそも、可観測性バックエンドはそれぞれのデータの送受信方法がバラバラで、ソリューション間で標準化されたデータフォーマットが存在しません。

    ですから、使用している可観測性バックエンドを切り替えようとすると、新しいツールにテレメトリーデータを送信するため、あらゆる設定をやり直す必要があります。結局のところ、この混乱は2つの重要な問題に行きつきます。標準化がなければデータの可搬性がなく、ビジネスに必要な実用的なインサイトを得るためのテレメトリー運用に大きな負担がのしかかるのです。

    Diagram Separate Collection

    幸いなことに、解決策があります。それが OpenTelemetry です。

    OpenTelemetry と Sumo Logic の使用例.

    • インフラストラクチャの監視
      インフラストラクチャを監視することで、次のような問題を把握することができます:
      • 操作上の失敗
      • 容量の問題
      • セキュリティ侵害
      • 悪意のある攻撃

    OpenTelemetry はこのような問題を捉えるための関連するイベントログやシステムメトリクスをすべて収集し、バックエンドに送信します。Sumo Logic と統合すれば、OTel データを可視化する標準およびカスタマイズ可能なダッシュボードにアクセスでき、重要な問題をすばやく、かつ容易に特定して解決できるようになります。

    OpenTelemetryと Sumo Logic の強みを使えば、Kubernetes、MySQL、AWS、GCP などの環境を簡単に監視できます。OTel は Sumo Logic のインフラ監視をいっそう効率化し、複数のエージェントをインストール・管理する必要がなくなります。メトリクス、ログ、トレースを簡単に統合し、フルスタックでの可観測性を実現できます。

    • アプリケーション可観測性(APM)
      Sumo Logic は、アプリケーションから取得した OpenTelemetry データを取り込み、分析、相関させるための統合プラットフォームを提供します。アプリケーションの劣化がどこで発生しているかを迅速に診断し、トラブルシューティングを行って根本原因を突き止めることができます。

    OpenTelemetry 顧客サクセスストーリー:GoSpotCheck

    GoSpotCheck は、現場担当者が業務中にリアルタイムのビジネスインテリジェンスを収集するのを支援するアプリです。たとえば多くのブランドは、自社商品が店頭の棚にどのように、どこに陳列されるかについて特定の取り決めを結んでいます。以前は、現場担当者が紙とペンを使って手作業で確認し、メモを取って報告する必要がありました。GoSpotCheck はモバイルアプリにより、このような問題を解決しました。

    フロントエンドは直感的なインターフェースである一方、GoSpotCheck のスタックのバックエンドは非常に複雑です。このシステムには、Kubernetes インフラストラクチャ、Postgres、Go、Rails に加え、機械学習(ML)やデータパイプラインが組み合わされています。クライアントへの継続的な成果提供が必要となる中、GoSpotCheck はフルスタックの可観測性こそが問題に先手を打つ唯一の方法だと認識していました。課題は、システム全体に対する可観測性を提供できるソリューションを見いだすことでした。そこで Sumo Logic と OpenTelemetry の登場です。これらのツールと一連の標準規格を活用することで、GoSpotCheck はあらゆるイベント、メトリクス、ログ、トレース、ビュー、ユーザーをひとつの場所にまとめて把握できるようになりました。

    GoSpotCheck と OpenTelemetry の詳細を見る

    OpenTelemetry は安全ですか?

    はい「安全」です。OpenTelemetry には、標準仕様として優れたセキュリティ機能が備わっています。カスタムコードを使用したソリューションには重大なセキュリティ上の懸念が生じますが、OTel はこの点を考慮して構築されています。OpenTelemetry は以下のサポートを含みます。

    • エンドツーエンド暗号化 HTTPS や gRPC-TLS のようなプロトコルにより、データ転送中にアクセスされるのを防ぎます。
    • 相互 TLS(mTLS) による相互認証で、ネットワーク接続の両端が正しい秘密鍵で検証されていることを保証します。

    ロールベースのアクセス制御(RBAC) は、ロールベースセキュリティとも呼ばれ、特定の許可されたユーザーに対して権限や特権をカスタマイズし、システムへのアクセスを制限することができます。

    OpenTelemetry vs Prometheus:

    OpenTelemetry と Prometheus は、同じ土壌(クラウドネイティブコンピューティング財団、CNCF)で開発されたオープンソースの可観測性プロジェクトです。OpenTelemetry はテレメトリデータの計測と収集を行うための一連のツールと標準規格を提供するのに対し、Prometheus はそのデータを人間が読み取れるダッシュボードに変換する観測バックエンドです。OpenTelemetry は分散システム監視におけるゴールデンスタンダードとしての地位を確立しており、現在 CNCF で Kubernetes に次ぐ第2位の人気オープンソースプロジェクトとなっています。

    一方、Prometheus は OpenTelemetry の収集エージェントを活用するメトリクス監視ツールです。Prometheus のメトリクスはログのタイムキーパーとして機能し、数学ライブラリと独自のクエリ言語(PromQL)を用いて基本的なデータの可視化を実現します。これらプロジェクトの全体的な目的、ビジョン、スケーラビリティは大きく異なり、Prometheus はメトリクスの収集に特化している一方で、OpenTelemetry は Prometheus がデータを収集するための標準規格のセットとして機能しています。Prometheus の専門的な性質を考慮すると、ユーザーは Sumo Logic のような、あらゆるデータタイプに対応したエンタープライズ向けデータ可視化ツールの利用を検討することをお勧めします。

    Sumo Logic は OpenTelemetryをどのようにサポートしていますか?

    Sumo Logic は OpenTelemetry をサポートするだけでなく、この重要なツールのさらなる改善にも貢献しています。たとえば、OpenTelemetry をベースにした Sumo OTel Collector を開発し、ログ、メトリクス、トレース、観測可能なメタデータを Sumo Logic に送信できる単一の統合エージェントを提供しています。当社のコレクターは、複雑な分散システムに対して、シンプルで効率的なパフォーマンスおよび動作の監視を提供します。問題を容易に特定できるようになり、結果としてシステム全体の信頼性と効率性の向上につながります。

    可観測性の未来とは?

    データの複雑化が進むにつれ、明確な可観測性の必要性はますます高まります。未来を形作るふたつの重要な要素は、オープンスタンダードへのコミットメントと高度な分析技術の力です。Sumo Logic では、特に OpenTelemetry のサポートを通じて、この進化に深く取り組んでいます。変化を見守るだけでなく、私たちは積極的にそれを推進しているのです。それでは、これが何を意味するのか探ってみましょう。

    オープンスタンダードへのコミットメント:可観測性を包括的かつ効率的に実現するためには、将来のプラットフォームにオープンスタンダードが深く組み込まれていることが不可欠です。データ収集のための OpenTelemetry 標準は、可観測性の領域で主導的な地位を占めることになるでしょう。これらのオープンスタンダードは、相互運用性を促進し、ログ、メトリック、トレースなど、あらゆるデータのバイトが、その起源に関係なく価値をもたらすことを保証します。

    多様な環境における高度なアナリティクスの習得:今日のマルチクラウドおよびハイブリッド環境で生成される膨大なデータ量は、高度な分析能力を必要としています。単なるデータ収集だけでなく、そのデータを実践的なインサイトへと変換することが重要です。将来の可観測性ツールは、組織が膨大なデータストリームから識別可能なパターンを抽出し、異常を特定するとともに、生データのままでは見過ごされがちな相関関係を明らかにします。これはオンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウドなど多様なデータソースからデータが流入するマルチクラウドやハイブリッド環境の複雑な運用に直面するチームにとって、特に重要な課題となるでしょう。これらの環境全体にわたる統一された視点

    エンタープライズ対応ベンダーとして、当社はオープンスタンダードの力と統合的なデータ収集を積極的に活用しています。私たちは自らの目で、コミュニティが結束することでより良くなることを実感してきました。そして可観測性の未来は、OpenTelemetry の標準化にあることを確信しています

    OpenTelemetry を始めるには

    FAQs

    はい。Sumo LogicはOpenTelemetryをネイティブにサポートしているので、オープンスタンダードに基づいた計測が可能で、ベンダーロックインを回避できます。

    はい。Sumo Logicは、主要なクラウドプラットフォーム(AWS、Azure、GCP)、セキュリティツール、CI/CDパイプライン、サードパーティサービスとの数百種類に及ぶネイティブ統合を提供しています。OpenTelemetryもサポートしているので、既存の観測可能性の標準およびツールとシームレスに統合でき、ベンダー固有のエージェントに拘束される心配はありません。

    Sumo Logicには3種類のデータコレクターがあります。

    • ホスト型コレクターはクラウド上に存在し、クラウドサービスへのシームレスな接続を実現します。
    • インストール済みコレクターはローカルマシンにインストールされます。
    • OpenTelemetry Distributionは、opentelemetry-collector-builderで構築されたデータ収集用のインストール型エージェントで、ログ、メトリクス、トレース、メタデータをSumo Logicに送信する単一の統合エージェントを提供します。

    テレメトリデータは、システムのパフォーマンスと動作に関するリアルタイムの洞察を提供することで、可観測性の向上に重要な役割を果たします。応答時間、エラー率、リソース使用率などの様々なメトリクスの監視を可能にし、問題の検出、パフォーマンスの最適化、信頼性の確保に役立ちます。システム内の様々なソースからテレメトリデータを収集することで、組織はアプリケーションインフラストラクチャの稼働状況を包括的に把握できます。これにより、可観測性が向上し、意思決定を改善するための実用的な知見が得られます。