
これまでも、これからもSIEMの役割がなくなることはありません。このツールは、当初からログの集約、アラートの分析、そしてインシデントの調査を行うシステムとして、セキュリティ運用のバックボーンを担ってきました。変わったのは、ツールを正しく使用する上での私たち自身の能力です。
従来のSIEMツールでは、トレードオフが余儀なくされていました。企業チームは、取り込み時にデータをフィルタリングしたり、コスト管理のためにログを削除したり、分析を分離されたポイントツールへとサイロ化したりしていました。その結果、SIEMは重く、受動的で、期待外れなものとなっていました。最新のクラウドネイティブSIEMは、コンプライアンスや検出、調査、そして対応のすべてを同じデータ基盤から実行できるプラットフォームを提供します。
すべてのテレメトリを取り込んで保持し、最新の分析および自動化機能により分析することで、SIEMは、すべてのSOCが信頼できる検出ツール、そしてセキュリティデータプラットフォームとなります。以下の10のユースケースでは、いかに組織がSIEMを本来の目的どおりに使用しているかが伺えます。
1.脅威の検出と監視
脅威の検出は、あらゆるSIEMプラットフォームの中核となるものです。悪意のあるアクターは、資格情報の不正使用や権限の昇格、内部者の悪用、およびランサムウェア攻撃などを日々試みています。Active Directoryへの異常なログインや、奇妙なDNSクエリ、AWSでの不審なAPI呼び出しなど、さまざまなドメインにわたる弱いシグナルを結び付けることは、どの企業のセキュリティチームにとってもきわめて困難です。最新のSIEMソリューションは、脅威インテリジェンスと行動ベースラインで強化されたこれらのシグナルを相関させ、ノイズを凌駕するインサイトを提供します。
今日の業界における大きな違いは規模にあります。クラウドネイティブSIEMを使用することで、企業チームは、テレメトリが検出にフィードする内容を制限する必要がなくなります。DNS、SaaS、エンドポイント、およびクラウド監査ログは、すべてリアルタイムで保持および分析可能です。この幅広さにより、忠実度の向上や誤検出の減少、そしてMITRE ATT&CKなどのフレームワークと検出の適合が実現し、侵害が発生する前に真の脅威を迅速に特定できるようになります。
2.コンプライアンスと監査
組織がSIEMを購入する最初の理由となるのは、コンプライアンスであることが少なくありません。PCI DSS、HIPAA、SOX、GDPR、FedRAMP、およびDORAなどのフレームワークはすべて、ログの集中保持および報告を求めています。SIEMなしでコンプライアンスを証明するには、異なるシステムから手作業で証拠をつなぎ合わせる必要があり、このプロセスは非効率的でエラーが発生しやすくなる可能性があります。
クラウド規模のSIEMはコンプライアンスの経済性を変えます。何年分ものログをクエリ可能な状態でオンラインに残し、レポートにより簡単に視覚化することができるようになるのです。事前構築済みのダッシュボードは、セキュリティチームが特定の制御に準拠していることを示すのに役立ち、監査人は指先から検証可能な証跡を得ることができるようになります。コンプライアンスは、苦痛を伴う年次作業ではなく、日常業務に組み込まれた継続的で透明性の高いプロセスになるのです。
3.クラウドおよびマルチクラウドのセキュリティ監視
インフラストラクチャがAWS、Azure、GCP、およびSaaSプラットフォームに広がるにつれ、セキュリティチームは盲点に直面します。ネイティブツールは狭い範囲の可視性のみを提供するため、プロバイダ間やオンプレミス環境との接続は不可能です。この断片化により、攻撃者に門戸を開く可能性のあるクラウド間のリスクや設定ミスを検出することが難しくなります。
最新のSIEMは、従来のソースに加えて、あらゆるクラウドプロバイダからデータを取り込んで正規化し、企業チームに単一の信頼ソースを提供します。クラウド規模では、API呼び出し、IAMイベント、そして監査証跡によって生成される膨大なテレメトリを処理することができます。アナリストは統合された可視性を取得し、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境全体に及ぶリスクや脅威を特定することができるようになります。
4.内部脅威とエンティティ分析
外部からの攻撃者に注目が集まりがちなものの、アカウントの侵害から意図的な悪用に至るまでの内部脅威は、通常の活動に見えるため、外部脅威と同様、あるいはさらに危険となります。休眠アカウントの起動や特権ユーザーによる異常データへのアクセス、サービスアカウントによる異常な動作はすべて、他のツールが見逃す可能性のある危険信号です。
最新のSIEMソリューションは、ユーザーおよびエンティティ行動分析(UEBA)を活用することで、通常のアクティビティのベースラインを設定し、逸脱にフラグを立てます。クラウド規模の保持を提供するこれらのベースラインは、ローリングおよび学習の標準となり、精度の向上と誤検出の減少に貢献します。イベントだけでなくエンティティに焦点を当てることで、SIEMは、被害の発生前に内部者リスクを明らかにするための微細な異常特定を支援します。
5.脅威ハンティング
受動型アラートは事前に定義されたものだけをキャッチします。積極的な企業チームは、脅威ハンティング、仮説の形成、正規化されたテレメトリのクエリ、および関連ログの方向転換によるステルス的侵害の検出にSIEMを使用します。これには、完全な忠実度を持ったデータが必要となります。
クラウドネイティブSIEMはこれを実現します。ハンターは、取り込み時のフィルタリングを心配することなく、DNSやNetFlow、SaaS、およびエンドポイントデータを照会することができます。これにより、数ヵ月分の履歴データに対して理論を検証したり、データセット全体の方向転換を行ったり、シグネチャベースのツールをすり抜ける攻撃パターンを発見したりすることができるようになります。
6.インシデント調査とフォレンジック
インシデントの発生時にリーダーや規制当局は説明を求めます。何が起きたのか?攻撃者はどのように侵入したのか?どのデータが侵害を受けたのか?従来のSIEMソリューションでは、アーカイブされたログの速度が遅かったり、アクセスが不可能であったりしたため、調査員は状況を完全に把握することができませんでした。
クラウド規模のSIEMでは、このような状況の克服が可能です。同じプラットフォーム上で数日前、数ヵ月前、および数年前のログにアクセスすることができるのです。調査員は攻撃のタイムラインを再構築し、ドメイン間でイベントを相関させ、推測ではなく証拠によって範囲を証明することができます。
7.インシデント対応の自動化
検出は、行動につながらなければ役に立ちません。最新のSIEMにおいて、滞留時間とアナリストの作業負荷を削減するには、自動化を統合し、アラートのトリアージやイベントのエンリッチメント、そして対応プレイブックの起動を行う必要があります。しかし、自動化の良し悪しは、得られるデータの内容によって決まります。
クラウドネイティブSIEMでは、過去のベースラインや脅威インテリジェンス、ピア比較など、完全なコンテキストを活用して自動化を行うことができます。これにより、適切なアカウントのリセットやIPのブロック、そしてインシデントのエスカレーションなど、より迅速かつスマートな対応が可能になります。このとき、自動化はリスクの原因ではなく、SOCの増力装置となるのです。
8.ノイズ低減とアラートの優先順位付け
SOCの燃え尽き症候群は、現実的な問題として存在します。世界中のアナリストたちは毎日何千ものアラートに直面していますが、その多くは誤検知あるいは重複です。従来のSIEMは、より多くのアラートを生成することで、ノイズを増幅してしまうことがあります。
クラウド規模のSIEMは、方程式そのものをひっくり返すものです。膨大なデータセットの相関と高度な分析の適用により、ノイズが抑制され、真に重要なものが浮き彫りになるのです。アナリストは、同じインシデントに関し10件のアラートを取得するのではなく、相関する1つのインサイトを見ることができるようになります。AIとスコアリングモデルの重ね合わせにより、アラートは量だけでなく、リスクによって優先順位付けされるため、アナリストの集中力の維持と疲労の軽減が実現します。
9.運用およびビジネスの監視
SIEMの価値は、セキュリティの側面にとどまりません。すべてのテレメトリを取り込んで保存するだけでなく、IT、DevOps、および不正対応チームのサポートを行うため、アプリケーションパフォーマンスログや取引記録、アップタイムメトリクスをセキュリティデータと一緒に分析することが可能となり、部門横断的な可視性が実現します。
例として、小売業者がPOSのアップタイムを追跡したり、銀行が不正な引き出しを監視したり、SaaSプロバイダがアプリケーションのレイテンシーに関する懸念を調査したりする可能性が考えられます。SIEMデータの二重利用によって、ビジネスケースの強化とチーム間コラボレーションの促進が実現し、SIEMは単なるSOCツールではなく、DevSecOpsの単一の信頼ソースとなります。
10.第三者およびサプライチェーンのリスク監視
現代の組織はもはや孤立して活動することはできません。ベンダー、パートナー、そしてSaaSプロバイダのすべてが攻撃対象領域を拡大しています。サプライチェーン攻撃は、テレメトリが存在しないか、サイロ化されている盲点において発生することが多いといえます。
クラウド規模のSIEMは、パートナー、MSP、そしてSaaS統合からログを取り込み、それらを正規化して内部データと相関させます。これにより、外部依存関係が可視化され、ベンダーのアクセスやAPIの使用に関連する潜在的なリスクが明らかになります。サプライチェーンの侵害がますます一般的になっている世界において、重要な防御層を提供するのはSIEMです。
Sumo Logicのもたらす変化
多くのSIEMが、これらのユースケースを満たすことを約束しています。しかし、インテリジェントなセキュリティ運用に必要な規模とシンプルさを提供している企業は多くありません。Sumo Logic Cloud SIEMが他社製品と一線を画すのは、まさにこの点においてです。
- ログファーストの基盤:ログ分析の伝統に基づいて構築されたSumo Logicは、さまざまなテレメトリを大規模に取り込み、盲点やデータを残さず正規化します。
- クラウドネイティブアーキテクチャ:弾力性があり、マルチテナントかつ高コスト効率のプラットフォームが提供されるため、階層の管理や保持への妥協は必要なく、データは常に利用可能およびクエリ可能となります。
- エンティティ中心の分析:UEBA、脅威インテリジェンスの統合、そしてID/エンドポイント/ネットワーク/クラウド全体の相関により、ノイズを信頼性の高いインサイトへと変えます。
- 自動化サービス:組み込みの対応ワークフローにより、ボルトオンSOARプラットフォームのような複雑さなしでTDIRが合理化されます。
- 部門横断的な価値:SIEMをSOCだけでなく、IT、DevOps、および不正対応チームにまで拡張し、すべてを同じクラウド規模のプラットフォーム上で実現します。
Sumo Logic Cloud SIEMは、クラウド規模のストレージや高度な分析、統合された対応によってSIEMのビジョンを実現し、企業チームが膨大なデータを有意義かつタイムリーなアクションに変換できるよう支援します。
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